KHギャラリー銀座では、このたび展覧会「納冨晋×コシノヒロコ -HAJIMARIの青-」を開催します。納冨とコシノの出会いは今から6年前。NHK総合テレビ制作の番組「鶴瓶の家族に乾杯」に出演したコシノは歴史ある陶芸のまち、山口県萩市を訪れ、その地で真摯に制作を続ける陶芸家の納冨に出会いました。納冨の創り出す作品の特質は「青」。その色は土の配合と釉薬の変化によって生まれ、藍のように深い青から白波のように淡い青までの豊かな階調があります。コシノは納冨の青の美しさに触れ、感銘を受けました。コシノにとっても「青」は特別な色。抽象絵画に現れる青は深い精神性をたたえています。青は海や空、宇宙など、人間の存在を超えたものを想像させる色でもあります。
本展では「青」によってはじまり、その後も交流を重ねてきた二人が初めて表現者として競演します。コラボレーション展に際して納冨は「制作の中でこんなに身体が勝手に動いた経験は初めて」と語り、自身いわく普段とはひと味違った陶芸作品を発表します。またコシノは代表的な青の抽象絵画を発表。アクリル画は釉薬の透明感や、繊細な陶器の肌を連想させます。白い空間に向き合うように構成された作品群からは、静謐な美の時間を感じていただくことができるでしょう。はじまりの記憶に思いを馳せて生み出された二人の「青」の対話を、どうぞゆったりとご高覧ください。
納冨晋 白釉広口花器 (hiding blue)
コシノヒロコ《WORK #1171》
アクリル/キャンバス
KHギャラリー銀座ではこのたび、日本の美を創作の源泉とするコシノの「墨」、そしてその制作と生活をさまざまな角度から紹介する展覧会「コシノヒロコ 創作の源泉」を開催します。約15年前から独自の感覚で描き始めた「墨」のシリーズは制作の礎。墨と余白の間合いの中には、日本文化の深い精神性が宿っています。初期の力強い大作から、近作の金銀と墨が重なりあう作品まで。折々に変化する作品群は、その時のコシノが求める日本の美を鮮やかに反映しています。
兵庫県芦屋市の自然豊かな環境には、安藤忠雄氏設計の旧自宅「コシノ邸」を改装したKHギャラリー芦屋があります。コシノは「日本の四季を体得したい」との思いで約30年間そこに居住していました。すぐ近くには自然光あふれる空間のアトリエ・センペルがあり、コシノは日々大作に向かい続けています。コシノにとって芦屋での生活は、自らの発想の源泉であるのはもちろんのこと、日本人の美意識の源泉を辿ることにも繋がっているのです。
本展では、代表的な墨象や書の作品を展示し、コシノの「日本的感性」をご覧いただきます。そしてKHギャラリー銀座初の試みとして、生き生きとした制作風景のスライドと、安藤忠雄氏による「コシノ邸」のスケッチ、建築模型を披露します。ギャラリー空間全体に広がる、コシノが愛する芦屋の空気と、臨場感あふれる創作の源泉をどうぞご高覧ください。
コシノヒロコ 《WORK #1591》 墨、ジェッソ / パネルに和紙
KHギャラリー銀座では、このたび展覧会「コシノヒロコ 夏の響き」を開催します。人を清らかな気持ちにさせる植物のエネルギーや水の流れは、コシノにとって繰り返し取り組んできたテーマです。そこには豊かな自然の中にアトリエを構えるコシノの、慈しみに満ちた自然へのまなざしがあります。都会の喧噪から遠く離れて、ゆったりと自然の中に身を置くこと、樹々の移ろいを見つめることは、コシノの創作にとって欠かせない要素となっています。コシノが描く自然には、おのずと敬愛の念が表れています。
本展では、約10年前に描かれた、蓮をモチーフにした大胆な墨の大作や、最新作である樹々と水面を連想させる静謐な油彩画を展示します。自然をテーマにした作品群は、清らかな水の響きのように、静かな風情をもたらします。
また墨と余白、黒と白を中心に描き出される世界は、コシノが制作の初期から影響を受けていた、水墨画や幽玄の美といった、歴史ある東洋の自然観とも繋がります。古いようでいて新しい。神秘的な絵画たちは、観る者を悠久なる美の世界へと誘うことでしょう。
静寂の中に、水のささやき、樹々のざわめきを感じて。外界の暑さを忘れさせる涼やかな響きを、ひとときお楽しみください。
コシノヒロコ《WORK #01166》2016年
-森羅万象-」
KHギャラリー銀座では、このたび
「片岡鶴太郎×コシノヒロコ×荻野綱久-森羅万象-」展を開催します。
片岡はバラエティ番組で人気を博し、現在では俳優として活躍する一方で、画家として真摯に制作を続けています。絵画制作においても、様々なフィールドで培った目が存分に発揮されています。特に自然への温かいまなざしと豊かな色彩は、多くの人々を惹きつけ、幅広い世代に親しまれてきました。
またコシノはファッションデザイナーとして活躍する一方で、美の感覚を最大限に活かして絵画を制作してきました。コシノにとって四季折々の自然は、すべての創造の源泉。自然が持つ生命力は生涯を通して取り組むテーマのひとつです。多分野で活躍する片岡とコシノの作品は、バラエティ豊かでありながらいつも「らしさ」を忘れず、自分の感覚を信じて生み出されています。
そして本展が記念すべき初の絵画発表となる荻野は、父である片岡からの薦めで本格的に絵画作品を描き始め、音楽から絵画へと表現の幅を広げてきました。シンボリックな幻想世界は、音楽と相互に関わりながら展開されます。
本展では異なる分野を行き来する、三者の世界観が一堂に会します。片岡は未発表作品、コシノは新作シリーズを中心に発表。また荻野はこれまで描きためてきた作品を、満を持して発表します。画家として長年の経験を誇る片岡とコシノが彩る空間に、荻野の若々しい感性がアクセントを加え、創り出される「森羅万象」と題された壮大なストーリーを、どうぞご高覧ください。
片岡鶴太郎 《彩雲》岩絵の具、墨
116.7 × 80.3 cm
荻野綱久《KING》
116.7 × 91 cm
KHギャラリー銀座では、このたび展覧会「操上和美 × コシノヒロコ」を開催します。操上は現在まで、広告写真をはじめグラフィックや映像など、様々な領域において写真表現を切り開いてきました。写真の可能性を追求する操上の作品は、観るものに目に見える現実の美しさ、そして操上自身の身体や心の動きまでも感じさせてきました。今回は「ソラリゼーション」という手法により、現実の色彩を反転させた、非現実の世界を垣間みるような新作写真を出品します。コシノはファッションデザイナーでありながら、同時にアーティストとして絵画を描き続けてきました。特に油絵具の予測のつかない動きは、大いにコシノの好奇心を刺激しています。今回はまっさらのキャンバスに、黒の油絵具で描いたラインを、揺らぎを与えながら反転させるという、コシノのオリジナルの手法によって生まれた新作油彩画を展示します。瞬間と直感が結実した絵画は、まさに現前するもの、そして瞬間的であること自体の美しさを備えています。それは墨と余白の美や、写真とも通じる感覚だとコシノは語ります。
本展では、操上の写真とコシノの絵画による、研ぎすまされた作品空間を体感して頂きます。天井が高く広々とした無地の空間は、ストイックな姿勢で創り出された平面作品の本質に、じっくりと向き合う時間をもたらします。二つの眼差しが生んだ作品から、その先の世界を、途方もなく広がる美しい時間を、旅をするように想像してください。
操上和美《シリーズ「孤独から始まる愛の物語り。」-男と女とTV-》
写真/ ソラリゼーション、インクジェットプリント
144 × 180 cm
コシノヒロコ《#1578》
油彩/ キャンバス 120 × 120 cm
KHギャラリー銀座では、このたび松井桂三とコシノヒロコの展覧会「折り込まれた夢 ~ARTへの変容~」を開催します。二人の出会いは「HIROKO KOSHINO」が世界進出し始めていた1980年代。以後2001年まで松井は、その広報物デザインに携わりました。パリコレクションの案内状は、手で開くと平面から立体に展開する、触れる人の心をつかむ仕掛けのものでした。コシノは松井に「面白いものを作って」とだけ伝え、任せていたと言います。それらの造形には、ものづくりへの情熱と、お互いに対する信頼、そして人を楽しませる「夢」が折り込まれていました。一方で、二人はデザインの領域に留まることなく新たな「ART」に挑戦しています。構想30年、試行錯誤を繰り返し、不可能といわれていた「陶とガラス」を融合させた松井の作品は、手仕事によって物理的な困難に挑み続ける松井の姿勢を反映しています。またコシノの絵画は、石膏や厚紙など実に多様な素材を使って制作され、不思議なテクスチャーは見るものの想像をかき立てます。約15年ぶりの競演となる本展では、松井による過去の「HIROKO KOSHINO」のデザインワーク、また初公開の立体作品、そしてコシノの大作絵画を展示し、変遷を辿り二人の作品の根底に流れる「ART」の心意気を探ります。
デザインによって人に「夢」を与える二人。今度は自らの中に在る「夢」を追うことで、新たな創造の息吹が生まれます。
松井桂三 「Born」 陶、ガラス
コシノヒロコ 「#1298, #1299」 ミクストメディア
KHギャラリー銀座では、このたび画家、金子國義の一周忌回顧展「金子國義 × コシノヒロコ そこに在るスタイル ~ネコとヒロコ~」を開催します。金子は生涯を通して男と女、明と暗、聖と悪、可愛さとグロテスクなど、両極性の間を自在に行き来しながら、独自の人物画のスタイルを確立しました。本展に出品される、亡くなる直前まで描かれた作品には、「人」という普遍のテーマを追い続ける金子の迷いのない眼差し、そして未来を見つめる心が感じられます。一方、コシノはスタイル画を初めてKHギャラリーで展示します。洋服の原点となるスタイル画は、コシノにとって最も馴れ親しんだ表現方法です。墨とペンで描かれる鮮明な設計図は、これから生まれる洋服の世界、そして「人」の生き方について語りかけてきます。本展では1967年に金子が初個展で披露し、現在コシノが所蔵する絵画や、絶筆画を含む幅広い年代の金子の油彩作品、さらに金子が愛用した家具やイーゼルを配置し、独特の審美眼を象徴する自室を再現します。そこにコシノの色とりどりのスタイル画が展示され、それらは金子の部屋に蒐集されていくように絡み合います。50年以上前から交流があった二人。それぞれの視点で「人」を見つめ、これからも在り続ける彼らのスタイルは、長年の時を超えて今やっと出会いを果たします。
「ネコ」「ヒロコ」と呼び合った、類い稀なる表現者たちの想像力が紡ぎだす、新たな物語をどうぞご高覧ください。
KHギャラリー銀座ではこのたび、企画展「コシノヒロコ 赤き衝動」を開催します。
コシノがこれまで展開してきた多彩な絵画作品の中でも、一際目を引く「赤」の作品たち。絵具を塗り込め、滴り垂らし、力強く線を描き出す。コシノは身体と精神でぶつかっていくように「赤」の作品に取り組んできました。そこには色を超えた、ほとばしる生命のエネルギーを感じ取ることができます。「赤」は強い感情だけでなく、太陽や炎、原始の記憶を想起させる色です。生きる上で感じる、抑えきれない衝動を描き出すために、コシノは「赤」を選んできました。
本展では、最近5年間の近作から選定した「赤」の作品を展示します。東日本大震災発生直後に描かれた、絵具が激しく滴る抽象の大作や、ミャンマー民主化運動の指導者、アウンサンスーチー氏の半生に感銘を受け、平和を願う人の手を象徴的に描いた油彩。そしてレリーフ状の大輪の花や、自由を求め羽ばたく鳥。様々な年代のシリーズから選ばれた「赤」が一堂に会する本展の構成は、別の角度からコシノのメッセージを読み解く、新たな試みです。
創造の闘いの中で生まれた「赤」の作品は、観るものに「生きることとは」という問いを投げかけます。絵画は表現者、コシノヒロコの生命の証であり、そのエネルギーはこれからも人々を勇気づけていくことでしょう。80歳を目前にしたコシノが魅せる、熱気あふれる空間をご高覧ください。
《WORK #757》226 × 282 cm 2011年
コシノヒロコと旧知のスタイリスト、三矢健次氏がオーナーの大阪・Air galleryにて新春企画展「ヒロココシノ Black & White ~墨と余白~ 」が開催されました。
フレンチテイストの素敵なギャラリーの中で新春にふさわしい、墨と金で構成された作品はシンプルな中にも華やぎを添え、集うお客さまにも好評でした。
KHギャラリー銀座では、このたび2016年の新春を飾る企画展「コシノヒロコ GOLD & SILVER~新しい光~」を開催します。
まばゆい光そのものを体現するかのような、輝きの色。金と銀は永遠や荘厳、吉兆の象徴として、古来より人々の心をとらえて離さない色でした。
コシノもまた、金と銀の美しさに魅せられた一人です。日本の伝統美術においても、重要な意味を持つ二つの色。コシノはこれらの色が持つ気高さや、日本的な要素を自在に取り入れ、現代の感覚で新たな作風を生み出しています。
金と銀が見せる輝きをじっくりと見つめながら、移ろいゆく光を追いかけるように、一心に描かれた作品は、単なる物質を超えた神聖な風格を漂わせています。
本展では、金と銀をテーマに、KHギャラリー銀座では初披露となる作品群を紹介します。「ユートピア」をモチーフとした物語を感じさせる作品や、金と他のモチーフとの組み合わせがモダンな「墨金」「花金」シリーズなど、通称がある作品が多いことも本展の特徴であり、金と銀の作品に対するコシノの思い入れの強さを感じて頂けることでしょう。
2016年の幕開けを祝す、晴れ晴れとした金銀の光。コシノのたゆまぬ美への情熱は、世の中に立ちこめる暗雲を吹き飛ばす、清新の光をもたらすことでしょう。新しい年のさらなる発展と、すべての人への幸福の願いを込めた、光り冴え渡る金と銀の世界をご高覧ください。
《WORK #1194》97cm × 220cm 2014
《WORK #1285》55cm × 84cm 2014