KHギャラリー銀座では、このたび松井桂三とコシノヒロコの展覧会「折り込まれた夢 ~ARTへの変容~」を開催します。二人の出会いは「HIROKO KOSHINO」が世界進出し始めていた1980年代。以後2001年まで松井は、その広報物デザインに携わりました。パリコレクションの案内状は、手で開くと平面から立体に展開する、触れる人の心をつかむ仕掛けのものでした。コシノは松井に「面白いものを作って」とだけ伝え、任せていたと言います。それらの造形には、ものづくりへの情熱と、お互いに対する信頼、そして人を楽しませる「夢」が折り込まれていました。一方で、二人はデザインの領域に留まることなく新たな「ART」に挑戦しています。構想30年、試行錯誤を繰り返し、不可能といわれていた「陶とガラス」を融合させた松井の作品は、手仕事によって物理的な困難に挑み続ける松井の姿勢を反映しています。またコシノの絵画は、石膏や厚紙など実に多様な素材を使って制作され、不思議なテクスチャーは見るものの想像をかき立てます。約15年ぶりの競演となる本展では、松井による過去の「HIROKO KOSHINO」のデザインワーク、また初公開の立体作品、そしてコシノの大作絵画を展示し、変遷を辿り二人の作品の根底に流れる「ART」の心意気を探ります。
デザインによって人に「夢」を与える二人。今度は自らの中に在る「夢」を追うことで、新たな創造の息吹が生まれます。