近年インスタグラムの投稿でポピュラーになった、スクエア(正方形)の構図。コシノは絵画を本格的に描き始めた10年以上前から、スクエアのキャンバスを好んで使用していました。本展ではコシノが描いたスクエアの絵画に注目します。120センチメートル四方の作品群には、コシノの代表的な抽象画が豊富にあります。絵の具が流れる偶然性を生かし、時にはひっくり返して新しい構図を発見する。天と地の縛りから解放されることで得た壮大なスケールが特徴です。
70センチメートル四方の画面に描かれた抽象画には、コラージュや繊細な描き込みによる優しい世界が広がります。またこの連作は格子状、横並び、ランダムと配置方法によって印象ががらりと変わります。そしてユーモラスな人物が動き回る具象画は、背景が限定されないスクエアの画面に大胆に人物が配置され、ダイナミックさが際立っています。スクエアの絵画には、四方から描くことができる自由さや、天地が限定されない分、自分でバランスを見極める面白さがあります。また無限に展示レイアウトを変えられる柔軟さも魅力です。コシノ独自の美的感覚と絵画空間の探求をお楽しみください。