KHギャラリー銀座ではこのたび、企画展「コシノヒロコ 赤き衝動」を開催します。
コシノがこれまで展開してきた多彩な絵画作品の中でも、一際目を引く「赤」の作品たち。絵具を塗り込め、滴り垂らし、力強く線を描き出す。コシノは身体と精神でぶつかっていくように「赤」の作品に取り組んできました。そこには色を超えた、ほとばしる生命のエネルギーを感じ取ることができます。「赤」は強い感情だけでなく、太陽や炎、原始の記憶を想起させる色です。生きる上で感じる、抑えきれない衝動を描き出すために、コシノは「赤」を選んできました。
本展では、最近5年間の近作から選定した「赤」の作品を展示します。東日本大震災発生直後に描かれた、絵具が激しく滴る抽象の大作や、ミャンマー民主化運動の指導者、アウンサンスーチー氏の半生に感銘を受け、平和を願う人の手を象徴的に描いた油彩。そしてレリーフ状の大輪の花や、自由を求め羽ばたく鳥。様々な年代のシリーズから選ばれた「赤」が一堂に会する本展の構成は、別の角度からコシノのメッセージを読み解く、新たな試みです。
創造の闘いの中で生まれた「赤」の作品は、観るものに「生きることとは」という問いを投げかけます。絵画は表現者、コシノヒロコの生命の証であり、そのエネルギーはこれからも人々を勇気づけていくことでしょう。80歳を目前にしたコシノが魅せる、熱気あふれる空間をご高覧ください。