KHギャラリー銀座では、このたび画家、金子國義の一周忌回顧展「金子國義 × コシノヒロコ そこに在るスタイル ~ネコとヒロコ~」を開催します。金子は生涯を通して男と女、明と暗、聖と悪、可愛さとグロテスクなど、両極性の間を自在に行き来しながら、独自の人物画のスタイルを確立しました。本展に出品される、亡くなる直前まで描かれた作品には、「人」という普遍のテーマを追い続ける金子の迷いのない眼差し、そして未来を見つめる心が感じられます。一方、コシノはスタイル画を初めてKHギャラリーで展示します。洋服の原点となるスタイル画は、コシノにとって最も馴れ親しんだ表現方法です。墨とペンで描かれる鮮明な設計図は、これから生まれる洋服の世界、そして「人」の生き方について語りかけてきます。本展では1967年に金子が初個展で披露し、現在コシノが所蔵する絵画や、絶筆画を含む幅広い年代の金子の油彩作品、さらに金子が愛用した家具やイーゼルを配置し、独特の審美眼を象徴する自室を再現します。そこにコシノの色とりどりのスタイル画が展示され、それらは金子の部屋に蒐集されていくように絡み合います。50年以上前から交流があった二人。それぞれの視点で「人」を見つめ、これからも在り続ける彼らのスタイルは、長年の時を超えて今やっと出会いを果たします。
「ネコ」「ヒロコ」と呼び合った、類い稀なる表現者たちの想像力が紡ぎだす、新たな物語をどうぞご高覧ください。